前回のブログで、「理系的な思考」の必要性について、少し触れました。
今回は、「ラクしてゴールへ!-理系的アタマの使い方」鎌田浩毅著(PHP文庫)
を紹介します。
この本は本屋に立ち寄ったとき、偶然目にとまり購入しました。
購入した理由は、現在ある専門分野の勉強をしていて、理系の知識が必要とされるため、理解を深める上で「理系的アタマの使い方」に興味を持ったからです。
では、この本の著者が考える「理系的アタマの使い方」とは何か。
理系的アタマの使い方とは、ひと言でいうと「アウトプット優先主義」(P.23)
理系が得意なのが知的生産、文系が得意なのが知的消費(P.24)
引用:「ラクしてゴールへ!-理系的アタマの使い方」より
おおまかに言えば、
「知的生産」とは、生産すると形のあるモノができる。即ち、生産により「モノ」というアウトプットが発生します。
一方で、「知的消費」とは食べることなど、内側にため込む行為。勉強では暗記により知識や教養を蓄積する行為と考えると、分かりやすいかもしれません。
私はこれまで「知的消費」による知識の暗記中心の勉強に偏りすぎた結果、「完璧主義」となってしまい、そのことが行動の障害になっていたと、これまでの勉強を振り返ったとき、強く感じています。
具体的に自分の体験と重ね合わせ、本書の中で参考になった箇所を中心に書いてみます。
脱・完璧主義のススメ
完璧主義とは自己満足の世界なのだ。(P.30)
知的生産のもっとも早道である“不完全”であることを許容し、切り捨てられた内容は思い切って“断念”するのだ。
ここが、知的消費と知的生産を分ける最大のポイントなのである。(P.30)
引用:「ラクしてゴールへ!-理系的アタマの使い方」より
大切なのは、「知的消費」と「知的生産」を両輪のようにバランスよく、動かすことです。
ノートに書く行為を一例に挙げると、
(従来)
これまで勉強する際、多くのノートを作ってきましたが、大半は自分が理解するためにアウトプットというよりも、単に自己満足できれいにノートを作ることを重要視していたため、ノートの中身がほとんど理解できていないことが多くありました。
(本書を読んだ気づき・見直し)
必要な資料はノートの左半分に貼り、補足事項を右半分に手描きで図解する。このとき、罫線に沿って書くなどにはこだわらない。それがきれいにまとめることを意識しすぎる原因となるからです。とにかくノートは、それを見る本人が理解出来ていればよい、と割り切ることにしました。
この本でも、次のように書かれています。
ノートというものは、書きなぐってもよい。(P.105)
ノートの罫線は無視する。(P.105)
ページもどんどんぜいたくに使う。(P.106)
引用:「ラクしてゴールへ!-理系的アタマの使い方」より
私は、この文章を読んだとき、ずいぶんと気持ちが楽になりました。ここまでノートについて書いた文章を読んだことがありませんでした。自分の内面の「こだわり」がいかにムダなものであったか、気づきを得ました。この「こだわり」こそが完璧主義による自己満足の世界であった、と痛感しました。
このような感覚になったのも、前回のブログで書きましたが、新たに同僚の仕事までせざるを得ない状況の中、同じ時間内ではとてもこなせない。いかに割り切って進めていくか。そのために完璧主義による自己満足の世界では、とうてい時間も足らないうえ、アウトプットもできないという、外部環境の変化も起因しています。
100点満点でなく、70点、80点でも見切りを付けて先に進む。不十分な点は時間が経過したとき、補足すればよい。その方が「知的消費」によるインプット重視より、先に進めた分、行動した量も多くなりアウトプットにつながります。
その意味でも、「脱・完璧主義」はオススメです。
ただし、これまで蓄積された習慣は、意識的に行動しないと変化させるには時間を要することは、自らの体験で感じています。
ペンディングは、振り返りをすれば自ら行動した証になる
ペンディングとは、一般的には「未解決、保留」といった意味となります。
完璧主義の視点からは、完全に解決してからでないと、次に進んではいけないという、「こだわり」がじゃまをして先へ進めない。たとえ解決しても、時間がかかりすぎ、行動量が少なくなる。その結果、アウトプットが出にくくなります。
そこでペンディングした際、その時点の内容と日付を記録しておくことで、後で振り返ったときに、役立ちます。記録しておかないと、ほとんど忘れてしまい、結局ゼロから仕切り直しになってしまうからです。
私も、過去の勉強において理解不足により、ペンディングした内容があり、時間が経過し改めて勉強したいと考え、そのノートの日付を見たとき、ちょうど1年前のものであった、ということがありました。1年前は行動したものの、理解が追いつかずペンディングした内容であっても、振り返ることで行動した証となり、新たな気持ちで勉強できます。
最後まで、お読み頂きありがとうございました。