化粧品の油性原料の一つであるシリコーンは、化粧品をはじめ、接着剤、半導体、食品など、様々な分野で使われています。シリコーンとはどういうものなのか?ここでは、岡野の化学シリーズで勉強した概念を掘り起こし、特許明細書の理解に必要なキーワードをピックアップします。ここでは、あくまでも特許明細書の理解に必要な内容を中心に説明できることが目的であり、過度に深掘りしないことを意識しています。
実際の勉強では、専用ノートを作成し、構造式を書きつつ、マインドマップ作成、資料読み込み等をしていますが、ここでは自分への説明のために備忘録として簡単にまとめたものです。※言葉の定義は、主にウィキペディアを参照しています。
●シリコーンとは
主骨格がシロキサン結合である、合成高分子化合物。
シロキサン結合
ケイ素(Si)と酸素(O)を骨格とする化合物がシロキサンであり、これら元素の結 合をいう。
ケイ素は、鉱物資源として豊富であり、常温・常圧での結晶構造が安定している。
合成高分子化合物
ポリシロキサン:モノマーが10または20以下の化合物。
ポリ:「たくさんの」を意味するギリシャ語。
モノマー
単量体。結合前の個々の物質。ポリシロキサンは、10または20以下の個々の物質が 繰り返し結合(重合)してできた化合物。
ポリマー ※モノマーと対の概念
モノマーが数百個以上重合してできた化合物。
●シリコーンの合成
シラン類→(加水分解)→シラノール→(脱水縮合)→シリコーン
シラン類
シラン化合物の総称。○○類。
シラン
Siが水素(H)と化合してできた無機化合物。
無機化合物(無機物)
炭素が化学結合に含まれない物質の総称。有機化合物(有機物)を除いた全ての物 質。生物に由来(生物が生み出すことが可能)しない物質。
有機化合物(有機物) ※無機化合物と対の概念
炭素が化学結合の中心となる物質の総称。生物が生み出すことが可能な化学物質。
加水分解
反応物が水と反応し、分解生成物が得られる反応。
シラノール
ケイ素アルコール。ヒドロキシ基(-OH)を持った水酸化物。
脱水縮合
水分子がとれて二つの分子が結合する反応。縮合反応の一種。
脱水縮合を経て、この二つの分子であるケイ素(Si)と酸素(O)が結合したシロキサン結合を主骨格に持つ高分子化合物「シリコーン」が合成されます。
シリコーンの説明の中にも、岡野の化学シリーズで学習した概念が至る所に出てきますが、この説明ではまだ重要な概念について不十分な点(極性、電気陰性度、分子間力等)もあり、この点については、別の機会に深掘りします。
次回(その2)では、シリコーンの用途を中心に岡野の化学シリーズで勉強した内容を掘り起こしながら、説明する予定です。